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CCSのクライアント・ファーストをサポートする各分野のプロフェッショナルの紹介コーナーです。

クライアント・ファーストの匠

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ファッションは、好奇心。
撮影衣装レンタル/武田和子

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武田さんは、ヘアメイク・ファッションスタイリストとしてキャリアをスタートさせた。持ち前のバイタリティと才覚で事業拡大を続け、今はビル1棟と別館に合計6つのショップを展開し、「プロ向けの衣装レンタル(CORD3)」と「一般向けのウエディング衣装レンタル・販売サービス(クリオマリアージュ)」の事業会社を経営している。好奇心の塊のような武田さんが発するポジティブなエネルギーはきっと、起業やフリーランスを考える人に前向きな刺激を与えてくれることと思う。(株式会社コードスリー 代表取締役 武田和子)

依頼には、なんでもYES!だった。

私は夜間のメイクアップの学校で学んだ後、ヘアメイクの会社に就職しました。仕事を始めると、だんだんスタイリストも頼まれるようになったんですね。じつは元々はスタイリストに興味があったのでヘアメイクよりも自分に合っていることが分かってきました。フリーランスとして独立をしてからは、モデルのキャスティングやインテリアも頼まれるようになり、テレビも映画もコマーシャルもお声をかけていただければなんでもやりました。依頼にはなんでもYES!と答えていましたので、使いやすかったのかもしれませんね(笑)。

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スタイリストは、洋服を集めてくることが仕事になるわけですが、毎回いろいろな指定があります。たとえば、色。「どうしてもこういう色がほしい」となると、苦労してお店を探し回ります。それが毎回あまりに大変でしたので、ある時、全財産を注ぎ込んでカラーチャートのように「全色の洋服」を買い揃えて、10坪のワンルームマンションを借りました。そうすると、そうした切り口でストックを持っているところが他になかったのか、口コミで同業者からレンタルの依頼が相次ぐようになりました。それが今の会社の始まりで、28年前のことですね。

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そして、洋服をレディース・メンズ・キッズと揃え、大きくしていき今ではプロ向けレンタル店を5店舗運営しています。今では、スタイリストの方にとどまらず、あらゆるプロ向け使用の目的で色んな職種の方にご利用いただいています。

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そのときから、店舗の内装を自分で手がけるようになりました。素人ながらも三角スケールを持って図面を引くんです(笑)。うちは大量のラック配置があるので、内装屋さんに頼むにしても煩雑なことが多いんですね。数年に一度は模様替えをずっとやってきましたので、今ではスタッフの子でも図面を引ける子が何人もいます。

探すことへの、おそろしい情熱。

ファッションスタイリストの頃は、街を歩いて服を探していました。まず、本屋で雑誌を全部立ち読みしてチェック。「この服がいい!」と思ったら、雑誌に載っている連絡先に電話しました。当時は、大判の手帖にファッションやグッズを種類分けした「分厚い電話帳」を作り持ち歩いていましたね。たとえば「和風家具」と訊かれたら、すぐに手帖を引いて「ここのお店ならレンタルしてくれるよ」といったことを即答していました。

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私は、「探す」ということに対しては、おそろしい情熱があります。「ないわけがない!」という気持ちが常にあって、どんなに時間をかけてでも探し出すのです。今はインターネットでも大量検索します。特に日本未入荷のブランドは、海外サイトから発掘するんです。今はSNSのようなサービスも多いですから大いに活用しています。商社も頼らないですし、すべて自力なんです。オファーをしたら、現地に買い付けにも行きます。ラフなビジネス英語で取引していますよ。私たちは買う側ですから、英語は向こうが合わせてくれるんです。ちょっとぬるま湯の英語力ですね(笑)。

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「これは絶対に買い付けたい!世に出したい!」

バイヤーの資質は、まず基本的に「服好き」であることです。すごく当たり前のようですが、ファッションってやっぱり「本当に好き」じゃないと続かないところがあるんですね。その上で、バイヤーの能力は「好奇心」で決まります。
好奇心があれば、普段から常にいろいろ見るじゃないですか。あと、人の意見を聞いてバランス感覚を持てる人は向いていますね。予算管理や売上予測も仕事の中に入ってきますので、事務的な能力も要るんですね。でも、バイヤーにとって本当にいちばん大事な資質って、「鳥肌が立つ」くらい感動することじゃないかとも思うんです。今まで見たことがないものを創造する人が出てきたときに「ああ、これは絶対に買い付けたい!世に出したい!」って駆られることです。私はその瞬間のために会社をやっていると言っても過言ではないくらいです(笑)。

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会社の経営者としては「人が育ったとき」は、やっぱり嬉しいものですね。買い付けた服や手がけた企画がうまくいって少しでも売上があがると、みんなで「やったー!」と喜びます。これはフリーランスのときには味わえなかった感覚なんです。フリーランスは自分が成長すればハッピーというだけですけど、会社はチームですから、一人では稼ぎ出せないようなお金も生まれてくるのですね。そのためには自分が我慢しなくちゃいけないことも多いですけど、それでも皆で結果を出せたときには、もうかけがえがない感覚で、チームならではの喜びがありますね。チームで仕事をするというのもまた、鳥肌が立つくらい感動するものなのです。

ウエディングをもっと自由に。

私たちの会社では、8年前から『Cli’O mariageクリオマリアージュ』というウエディング衣装レンタル・販売サービス事業を始めました。今までのBtoB向けの衣装レンタルとは違う、BtoC向けの新事業だったのですが、おかげさまで多くのお客様にご支持をいただけています。

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「結婚式」って、「個人の方の人生で最大のビジュアルづくり」の場じゃないですか。挙式は勿論、挙式をなさらないご夫婦でもウエディング写真は撮られる方が多いですから、そこにはニーズがあって、プロ用のスタイリングを提供してきた私たちなら、お手伝いできると信じて始めました。

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「ウエディングをもっと自由に」という思いでサービスを始め、今では『マルシェ フォー ウエディング』というイベントも定期開催するまでに事業が広がりました。私たちのようなバイイングを得意とする会社が、ウエディングでお客様のお役に立てるのはとても嬉しいことです。

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私たちは、たくさんの服を持っています。それならば、もっと角度を変えてサービスを新開発すれば、ウエディングに限らず、もっとユニークなニーズを掘り起こせると思っています。たとえば、最近では「キッズ向けオーディション用」でレンタル衣装の需要が伸びています。他にも、美容師さんの「コンテスト出場用」の衣装レンタルにも力を入れています。大会にはドレスアップしたコーディネートで出場するため、ニーズが増えており、入賞・優勝したご報告がある時は、私達の喜びもひとしおです。こうした新機軸を思いついて、あれこれと考えているときが面白いですね。
私は「ファッション」をツールにしたビジネスなら何でもトライしていきたいですし、まだまだやれることはあると思っています。2年半前からは「インスタグラム」で情報発信も続けています。社内ではブランドごとに全部で11アカウント持ち、毎日更新しています。お金をかけずに情報を発信できる時代になったのですから、活用しない手はないですね。私はビジュアルを扱うのが好きですので、全然苦にはならないです。もっと「私たちのサービスがここにある!」って、世の中に発信していきたいですね。

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大きな失敗から学んだ、大きな教訓。

あれこれと思いついた事業を始めますので、手痛い失敗をしたことは何度もあります。たとえば、代官山にブティックの路面店を出店したことがありました。デザイナーを入れてものすごくお金をかけて特注で内装を施し、雑誌『商店建築』にも載って褒められたのですが、全然お客さんが来なかったですね。お客さんはきっと引いちゃったんだと思います。大失敗して撤退して、すぐに原宿にお店を移したんです。そのときは、すぐ夜逃げできるように(笑)お金もかけずに何もせず、店舗を作ったのですが、そこはお客さんからは「かわいい」って言われてました。きっと「手が届く」ような感じが伝わったんですね。

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そのとき、ただお金をかければよいということではないことを痛感しました。お金をかける場所と、上手に手を抜く場所をジャッジする必要があるわけです。たとえば、バジェットで5万円の余裕が出たとして、その5万円をささいな部材のランクアップに費やすよりも、店内の「香り」にこだわったり、DJにお店の雰囲気に合う「音楽」を作ってもらったり、というふうに使ったほうが空間としての全体のクオリティが上がって居心地がよくなると思える発想の転換を意識したお金の使い方が重要だと思います。自分が一生涯住むようなおうちのリノベーションにはいくらこだわってもよいと思うのですが、ビジネスで作るお店は事業展開によっては短い時期で改装する可能性もありますので、何年で償却するつもりなのかを考えなくてはいけませんよね。

武田さんのアントレプレナー気質とでも言うか、次々にサービスを仕掛けていくフットワークの軽さと持ち前の明るさにはとても驚かされた。今もビルの改装を行い、衣装レンタルだけでなく撮影スタジオ『スタジオコードスリー』もオープンさせ、予算が少ない案件でもスタイリング提案から撮影まで対応できるように整えた。「このスタジオならケータリングでお食事を持ち込めば、簡単なウエディングパーティもできそうですよね」そう言う武田さんの目は、大勢の社員を抱える社長でありながら、どことなく部活動のキャプテンかマネージャーのような朗らかさで楽しそうに輝いていた。

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