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CCSの建築プロジェクト支える、こだわりのある職人気質のメンバーをご紹介いたします。

チーム the コモリ

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塗料の研究は、道楽。
外壁塗装業/南丈雄

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南さんは研究肌の人だ。もう少しやわらかく言えば、根っからの凝り性といったところだろうか。仕事で用いる塗料や錆び落とし剤や薬剤を全部比較して効果を実証したくなると言う。「じつは業務用が一番いいとも限らないんですよ。家庭用のほうが優れていることもあるんですね。だから、テレビショッピングや通販サイトで売れてると聞くと、怪しいなあと思いながらもつい買って試してしまうんです(笑)」これは仕事道具の話に限らない。 たとえば、ご飯にしてもどこのお米の銘柄が一番美味しいか、取り寄せて食べずにいられない。「だって他人の言う評価が正しいのかなんて、自分で確かめなくちゃ分からないじゃないですか」朴訥とした語り口ながら、飽くなき探究心や好奇心という言葉ではどこか足りない、なにか業のような情熱が南さんを突き動かしていた。

常に新しい情報を仕入れる。

外壁塗装のときに錆び落とし剤などの薬品を使うのですが、どれが本当に一番落ちるのかな?って気になるんですよね。これはもう趣味とか道楽に近くて、常に自分で研究しているんです。自分で触って、試してみて判断してというのが楽しいんですよね。塗料ひとつにしても、メーカーごとに品質を競い合っていますので、毎年製品を研究していかないと、「今まではここの製品が良かったけど、今度はこっちがいいね」ということがあるわけです。だから、常に販売店さんやメーカーさんから新しい情報をもらえるようにしていますね。

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業界団体の会合に行くと、同業者から塗料や薬剤についてよく聞かれますよ。案外、同業者でも知らないでやってきてるんだなということが多いんですね。「いつもこの材料」と決めている人は何年経っても同じ材料を使うじゃないですか。「今はもっとこういう材料があるのに」と私なんかは思ってしまいますけどね。どんどん材料を試して替えていく人と、「いいじゃんこれで」と思ってしまっている人とでは、時間が経つほどに大きな蓄積の差ができてしまいますよね。私は、呑むだけで銘柄を当てる「聞き酒」のように「聞き塗料」ができる力は同業者よりもあると思います(笑)。同じ職人だった父親もそういうタイプでしたので、どうやら同じ血を引いてしまったようですね。

同じ建物を30年見続けた蓄積。

昔から大手電機メーカーの社宅や施設の大規模修繕に伴う外壁塗装を手がけてきました。同じ建物を30年以上に渡って見続けてきたことになります。その間に少なくとも3回は塗り直していますから、メーカーに薦められた塗料で施工してみてダメだったときも結果を毎回確かめて、次の施工時には替えて試すことができました。

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そもそも、外壁の塗装は時間が経ってみないと結果が分からないものです。建物を1回きりで施工していると、数年後の結果を自分でも見ることができないですよね。10年経ったときにどうだったのかを答えられる業者は少ないと思うのです。自分たちの仕事がどのくらいまで持つのかは大事なことです。自分の中で失敗したときもきちんと検証をして、次に活かすために材料を再検討して・・・という形で30年以上やってきた蓄積量と経験値は今、大事な資産になっていますね。ここまで同じ建物を何十年も何棟も見続けた同業者は多くないはずですから。

塗る作業は、全体の3分の1。

塗装の仕事というと「塗る」作業に注目がいきがちですが、じつは一番難しいのは「掃除」なんです。塗装の基本は、掃除なのですね。「隅を丸く掃くような仕事じゃ塗装屋なんてダメだ」と師匠にも教わりました。

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塗装では「サゲツ」という容れ物に塗料を入れて、刷毛やローラーに塗料を付けてから内側の縁で叩いて整えるのですが、うまい職人はいつも同じ位置にやりますので、汚れる場所も非常に少ないんです。へたな人はサゲツの外にダラダラと塗料が出ていたり、作業服にもいろいろなところにベタベタと汚れがくっついています。だからうまい人は後片付けも簡単なんですね。そもそもそんなに汚れていませんから。昔の職人は今のように「養生」(汚れが付かないようにシートなどで覆って保護すること)をしなくても塗料を垂らさない技術があったんです。だからわざと足元に新聞紙を敷いて、ボタッと音が出るようにして鍛えている人もいました。今は「絶対汚さないように」ということで、少し過剰な養生になっていますね。本当にうまい職人になれば養生をしなくてもきれいに塗れるのですが、お客さんに安心してもらうために「見せる養生」をすることも多いんですね。このように塗装は、じつは「塗り」以外の作業で大きく差がつきます。住宅で言えば、窓のサッシ・ガラス・網戸・手すりといった箇所をどう扱ってくれているか、ということを見てほしいですね。きちんと掃除してくれているのか。だって、「塗装しました、壁はきれいになりましたけど、サッシもガラスも汚い、網戸は破れている」という仕上がりでは自分の家なら嫌じゃないですか? せっかく足場を立てているのだから、ついでにやれることはやってくれていたほうがいいじゃないですか。あるいは、鉄部であれば塗り作業の前に剥がれた箇所を削るのですが、その「削り」をどこまでやるかは、きりがなかったりするのです。「掃除」というのはそういうところを含めてですね。

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外壁塗装は、足場屋、塗り手、下地屋、養生といった専門チームがそれぞれの役割分担をしながら行います。塗る作業はだから、全体の3分の1くらいなのですね。塗り手の腕は、部分補修のときに出ます。指定色のペンキを使うのではなく、すでにある色に合わせて色をつくるので、職人の腕が出やすいんですね。見分けがつかなくなるくらいピッタリ合わせられる色を短時間でつくれるのは腕のある職人ですよね。

建物は、自分のものとして扱う。

外壁塗装は、3度塗りが基本です。しかし、残念ながら標準施工をしないいい加減な業者も多いのが実態です。指定材料を使わずに安物をこっそりと使っている業者さえいます。お客さんが目で見ても分からないのと、結果が出るまでに時間差があるだけに、そうして逃げてしまうのですね。

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私たちがきちんとした仕事で信用をしてもらうためには、いろいろと方法を考えなくてはなりません。塗料に関しては、塗料メーカーからの材料の「出荷証明」と、メーカー保証のための「診断(試験)」をする方法があります。これは大規模な建物でなくては難しいのですが、戸建てのお客さんの場合には、施工経過を細かく写真に撮って報告しています。塗装は、材料の塗料で「持ち」が変わってきますので、よりよい塗料を常に把握しておくこともやはりプロとしては大事ですよね。その上で、私は施工に臨むとき、常に「建物は自分のもの」として扱うようにしています。自分の家だったらどう思うか?どんな塗装がよいか?と考えながら向き合うのが楽しいんですね。

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漏水は、水の流れを推理する。

じつは外壁塗装の業務を手がけるうちに、漏水・防水処理も頼まれて仕事領域が広がるようになりました。漏水は、水の流れの仮説を立てることがすべてなのですね。「観察力」が勝負です。何が変化しているのかを医者のように診断し、原因を推理します。というのも、漏水(特に雨漏り)は、実際に水を流して確かめようにも雨量に匹敵するほどの水量をホースから出すことはできないので、水の流れを推理して大元を断つしかないのです。むしろホースの水で漏れてくるくらいであれば、推理するまでもなく原因が明らかな場合が多いです。よく、天井に染みがあると天井裏を開けてほしいと言われるのですが、染みがある時点でその真上が洩れ位置になるので、じつは敢えて開けて見る必要はないのですね。水は低い方に落ちていきますので、下から止めても意味がありません。一番上の大元を止めれば済みますので、天井を開ける必要はないのですが、よくお客さんや管理会社の人にも言われることは多いですね。

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こうした推理力は、扱ってきた件数で決まると思います。漏水のパターンは症状によって変わります。どこが漏るのか、集中豪雨で漏るのか、台風の風向きや雪や連続した雨で漏るのか、それぞれのタイプで原因が異なります。住んでいる方や管理人さんに話を聞きながら推理をしていくわけですね。この推理する作業は、塗料についての研究と同じで、自分に向いているだろうと思っていますね。

南さんは、多弁な方ではないし、人前で挨拶をすることも未だに得意ではないと言う。「口のうまい人ってどこか信用ならなくないですか?」と相好を崩す。「でも、挨拶のうまい人が出世していくんですよね」とまた一段と大きく笑う。取材が終わったあと、南さんは「じつは今回の取材を受けることは気が重かった」と打ち明けてくれた。「自分は特徴があるわけでもないし、話がうまいわけでもないので」と。でも、どうだろう。ご謙遜されている部分は差し引いたとしても、南さんの仕事に特徴がないとはとても思えない。「塗装」と一口に言っても、その奥にある深みを垣間見せてもらえたように感じている。

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