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建築の3D空間に、2Dのアートやデザインを加えた際に生じる「効果」を検証するコンテンツです。

3D+2D

第3回

プロトコルを考える(前編)

3D+2Dは、建築に平面作品(アートもしくはグラフィック)を付加した際に現れる効果を検証するコンテンツである。ここでは両者の境界を単純に「+」記号で接続しているが、実際の現場ではもっと複雑な接続を要している。たとえば、作家本人が気に入った絵画作品を建築空間に提供してもしっくりこないことがあるし、最悪はモノが納まらずプロジェクトが頓挫することも起こりうるだろう。

両者の接続方法は作家によって異なっていて、プレゼン能力であったり過去の実績やネームバリューの援用ということもあるし、両者の間に手腕の高いギャラリストを介する場合も多いし、作家の数だけ方法論が存在する。筆者の場合は、「プロトコル」を方法論にしている。プロコトルの辞書的な意味は「儀礼」「議定書」だが、現在ではIT用語を指すことが多い。話をわかりやすくするために、プロトコルの古い事例を挙げてみたい。壬申の乱に登場する合言葉は、戦時中に敵と味方を正確に見分けるために発明された日本で最初のプロトコルだ。「山」なら「川」という類である。現代社会の合言葉はもっと複雑に進化していて、コンピュータ端末同士が瞬時に膨大な「合言葉」をかわしあって敵か味方か(信頼できるか信頼できないか)を決している。

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どのような仕事であれプロトコルの果たす役割は想像以上に大きく、プロジェクトの推進力そのものを左右してしまうことがある。方法論としてのプロトコルは、敵か味方を区別するような単純なものではない。建築とアートを接続していくためにも、施主の家系にひそむヒストリーを言語化して共有することであったり、プロジェクト全体にかかわる人々に共通している気分や動機などの暗黙の領域に光をあてて明確化することであったり、チームプレーをまとめて前進させていくためのプロトコルを、案件ごとに見つけだしていく必要がある。

アートは非言語的であるが故にこそ、その都度プロトコルを発見して相手から明確な信頼を得なければならないのである。下の写真は筆者の手掛けた自社ビルのシャッターに施工された大型サイズのアートプロジェクトで、このときのプロトコルは「Mega Gate」だ。全国展開されているアパレル商社(東京都中央区)の事業特性を考慮したうえで導いたものだ。抽象的で弱い絵柄ではあるものの、押し付けがましさないことで多くの方々の意識を投影しやすく共感しやすいことが好感をもって受け入れられた。

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「プロトコル」は少しハッタリめいたキャッチーな響きだが、要は言葉をうまく操れれば仕事は円滑化するという一般則である。「プロジェクト・スローガン」と言い換えても良いのだが、信頼するかしないかの定義を含んだ「プロトコル」という概念を、個人的には気に入っている。「あ、このワードだ! 」と発見した瞬間に、そのプロジェクトは半分以上解決しているような気さえしてしまう、実際にそうかも知れないが。プトロコルを発見すれば、あれこれ試行錯誤せずに最短距離でアウトプットに突き進めるのは確かだ。プロトコルは人工知能との概念比較も含めて示唆に富んだ言葉だと感じているが、今回はそのことには深入りしないでおきたい。

文・作品:竹中隆雄

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