家づくり救急隊

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シックハウス症候群

品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法)を知って、
家づくりに役立てましょう。


(1)品確法を上手に使う

 品確法は、消費者が、質の良い住宅(新築住宅)を入手しやすくする目的で作られました。施行は、平成12年4月1日からです。「住宅性能表示」とともに、次の3つを柱としています。

瑕疵担保責任期間の10年義務化
対象となる基礎や柱、床、屋根、外壁、サッシなどの基礎構造部分の欠陥は外から見ただけでは発見しづらく、住んでしばらくしてから気づくことが多い。引き渡しから10年以内に欠陥が見つかれば、消費者は無料の修理や賠償金を建築業者や売り主に求めることができる。

住宅性能表示制度
9分類28項目の住宅性能を第三者が判定し、どの程度の水準にあるかを等級で示す。消費者が外から見ただけではわからない耐震性や省エネルギー性など、質の評価を客観的に見比べられる。有名でないが、技術力の高い中小零細の建築業者にとっては数値で評価してもらえるので、メリットは大きい。

裁判外の紛争処理体制
施工段階の評価を受けた住宅で万一トラブルが起きた場合、裁判をしなくても紛争を処理できる体制ができた。裁判だと印紙代や弁護士の費用も高額になり、また数年の期間が必要になるが、この制度であれば、申請料も1万円、しかも処理も迅速である。(ただし、これで解決できない場合は従来通り、裁判が必要になる。)

 住宅の性能の表示は、9分野28の項目からできています。どちらかというと、住宅の外見や簡単な間取図からでは判断しにくい項目が多く、 それぞれ等級が定められています。もちろんすべての項目において最高性能であるのが理想的ですが、 地域や消費やによってそこまでの性能を必要としないこともあります。それに、設計・施工コストに跳ね返ってしまいます。そのため一律の基準になっていないわけです。  等級で一番低いもの(等級1)が建築基準法相当の性能として設定されていますから、 重要視しない分野・項目でも、十分なレベルにあります。 (これはこの制度の採用にかかわらず、現在、すべての新築住宅で言えます。)

住宅性能表示の9分野


1.地震などに対する強さ
(構造の安定)
地震などが起きた時の倒壊のしにくさや損傷の受けにくさ。 等級が高いほど地震などに対して強い。等級1でも、建築基準法を満たす住宅なので、大地震が起きても倒れてしまうことはまずない。

2.火災に対する安全性
(火災時の安全)
住宅の中で火事が起きたときに、安全に避難できるための、燃え広がりにくさや避難のしやすさ、隣の住宅が火事のときの延焼のしにくさなど。等級が高いほど火災に対する安全性が高い。

3.柱や土台などの耐久性
(劣化の軽減)
土台や柱等の耐用年数対策。等級が高いほど柱や土台などの耐久性が高い。

4.配管の清掃や取り替えのしやすさ
(維持管理への配慮)
水道管やガス管、排水管といった配管類の清掃のしやすさ、点検のしやすさ、万一故障した場合の取り替えのしやすさなど。

5.省エネルギー対策
(温熱環境
暖房や冷房を効率的に行うために、壁や窓の断熱性能など。
6.シックハウス対策・換気
(空気環境)
シックハウス症候群の原因の1つがホルムアルデヒド。接着剤を使用している建材から発散するため、接着剤を使用している建材などの使用状況や換気対策。 等級が高いほどシックハウス対策・換気対策が充実。

7.窓の面積
(光・視環境)
東西南北及び上方の5つの方向に関して、窓(開口部)がどのくらいの大きさで設けられているのか。等級が高いほど光・視環境が良好。ただし、耐震性とトレードオフの関係になりやすい。

8.遮音対策
(音環境)
主として、共同住宅の場合(そのためオプション項目)。上層の住戸からの音、(自分の住居から)下層の住戸への音、隣接する住戸への音などについて、その伝わりにくさ。

9.高齢者や障害者への配慮
(高齢者等への配慮)
高齢者や障害者が暮らしやすさ(段差や勾配等)への配慮。等級が高いほど高齢者や障害者への配慮が為されている。

 性能表示制度を使えば、評価機関が「建築工事を検査」するので、「手抜き工事の防止」に役立つというメリットも大きいです。 また、「建設住宅性能評価書」の交付を受けると、民間金融機関や公共団体の住宅ローンの優遇や、 地震に対する強さの程度に応じた地震保険料の割引などもあります。 ですから、建築業者に、この制度の適用を相談するといいでしょう。また、全国に93の評価機関があるので、そちらで相談をされてもいいでしょう。 新築住宅の建築・取得に際し、 「住んでみないとわからない欠陥等があっても、解決できないのでは…?」 といった消費者の不安はやわらぎます。(ただし、法律があっても簡単に解決できないことがあるのも否めません。)  また、将来、中古住宅として売り出す場合、 新築住宅時にこの制度を使っていたほうが不動産流通上、便利だと言えます。
※既存住宅(いわゆる中古住宅)を対象とした性能表示制度が平成14年8月に公布・施行されています。

  ただ、以前から説明しているように、 良い設計と、良い施工との両立は決して難しいことではありません。つまり、住宅性能表示制度を使わなくても、同じ効果を得ることは十分に可能です。 しかもコス的に少なくできることは少なくないのです。このホームページでも書いていますが、設計家を上手に使う、ということです。 質の良い住宅を入手するには、チェックは欠かせません。 業者のレベルの問題もありますが、残念なことに、中には悪質な業者(業者と呼ぶべきか迷うところです)は存在します。 そのチェックを設計家に代行してもらうのです。 問題・トラブルが起きてから対処するよりも、そうしたことを予防したほうが、 実際にはコスト的にトクなことがふつうです。 それに、精神的にも良いので、こうしたことにお金をかけることをおすすめします。  もちろん、設計家もまた、いろいろですから、品確法並に、設計や材質、施工を厳しくチェックでき、 人間的にも信頼・信用できる設計家を探すことから始めなければなりません。

「品確法」について参考になるサイト
国土交通省 http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/hinkaku/hinkaku.htm
住宅産業研修財団 http://www.sumai-info.jp/seino/index.html
住宅性能評価・表示協会 https://www.hyoukakyoukai.or.jp



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