![]() 地球環境を守る一環として、ビル屋上やベランダの緑化があります。 身近なところで自然を楽しむために考えてみましょう。 |
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(1)ヒートアイランド現象
ビルが林立する都心部は、空気の環流が悪く、また、地表面がアスファルトやコンクリートで覆われているため、熱がこもりやすいという特徴があります。 太陽熱がコンクリートの建物に及ぼす影響も大きいものです。たとえば夏季の晴天日だと、屋上のコンクリート表面温度は日中50~70℃にまで上昇すると言われます。ビル屋上ばかりではありません。アスファルト道路も似たような状況で、照り返しがあればなおさら暑く感じられます。
夏季だけでなく、冬季も都心部と都市周辺部では2~3度の気温差があります。都市部の平均温度が年間を通じて高温化するヒートアイランド現象がいまや重大な問題になっています。この都市環境の改善策として注目されているのが屋上緑化です。
東京都では、2000年4月、自然保護条例における緑化基準改正によって屋上面積の2割を緑化するよう指導を開始しました。
「改正・自然保護条例」~敷地面積および屋上面積の2割以上を緑化する!~

(1)対象 | ①民間施設の場合、1,000㎡以上の敷地に建物を新築あるいは改築する場合 ②公共施設の場合、250㎡以上の敷地に建物を新築あるいは改築する場合 |
(2)緑化が必要な広さ | ①地上の場合、敷地面積から建築面積を差し引いた面積の2割以上 ②屋上の場合、貯水槽や空調機器など必要な施設を除いた面積の2割~3割。 なおドーム型屋根、傾斜型屋根のように緑化しにくい場所は除外できる。 |
屋上緑化しなければ、もはや都心部の「緑」の減少をくい止められないからです。 2001年4月からは都市緑化を強化しょうと、東京都では指導に従わない事業者に対して20万円以下の罰金を科す罰則規定や屋上を緑化する建物の容積率の割増しも実施し始めました。
国土交通省は「エコビル整備事業」に続き、屋上を緑化した施設の固定資産税減免制度を創設するなどして、緑の減少をくい止めようとしています。大阪市や神戸市、川崎市でも都市緑化に積極的です。他の自治体でも同様の動きを展開するものと思われます。
(2)効果はあれど進まなかった屋上緑化
屋上緑化には、次のような効果があります。
①屋上の照り返し緩和
②冷暖房費の低減(断熱による節約)
③ひび割れ漏水の防止
④太陽熱や紫外線、風雨による経年劣化の遅延(修繕費の抑制)、建物の耐久性の向上
⑤二酸化炭素の吸収
など、いろいろな効果があることがわかっています。 しかし重量、排水といった問題から実施は困難でした。 建築基準法では、ビル屋上に1㎡当たり180㎏の重さがかかっても耐えられる構造(積載荷重180㎏/㎡)にすることが義務づけられています。人が出られるような一般的な屋上やベランダ、バルコニーの場合、積載荷重150~180㎏/㎡です。 屋上を緑化しようと自然の土を使うと、簡単に180㎏/㎡を超えてしまう。防水層、潅水・灌漑設備を入れると、さらに重くなります。屋上全体でなくても一部を積載荷重300㎏とか500㎏にするなどしなければ、屋上に庭園を作ることは無理です。ところが最近、さまざまな素材や技術が開発され、屋上緑化は容易になってきています。多少建設費が高くなりますが、考えてみてはいかがでしょう。
(3)屋上緑化設計における対策
屋上緑化、ベランダ緑化における従来の問題点と最近の対処法を紹介します。
①荷重軽減 | 比重1・6~1・8の黒土などの土壌を20㎝ほど客土すると約320㎏/㎡以上となる。そこで人工軽量土壌や土を使わず植物を育てられるマットなどを使う。排水資材も軽量の火山砂利、黒曜石パーライト、木材などを使いたい。床材、土留め資材も同様に軽量化を図る。 |
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②漏水防止対策 | 防根シート敷設などによる防根処置が必要。ベランダは塗膜防水やモルタル防水など簡易な防水であることが普通なので、ベランダ緑化を考える場合、十分に注意する。 |
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③風対策、落下防止 | たとえ低層でも屋上では風が強くなる。植物が倒れたり、新芽や花が飛ばされたりすることを防ぐ。植物は風に強く、背の高くならないものを選び、遮蔽率60%前後の防風ネットや生垣、支柱などを設置。枯れ枝など物の落下防止も考慮する。 |
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④植物の選定 | 屋上で、風が強く吹く場所だと、風で飛ばされたり、風で倒されてしまうので、背の高くない植物を選びたい。荷重条件も考える。![]()
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⑤転落防止対策 | |||||||||||
⑥避難経路の確保 | |||||||||||
⑦生ゴミ堆肥 | ゴミの減量化のため生ゴミの堆肥化をしてその使用を図る。 |
(4)融資・助成制度の利用を考える
屋上緑化を推進するために、国土建設省では融資制度(屋上面積の40%以上を緑化施設にする場合、建物全体の建設費の40%を上限に低利融資を行う)を設けています。また京都の中央区や板橋区、大阪市、川崎市などのように助成制度を設けている自治体もあります。 新築・改築時はもちろん、既築であっても、屋上緑化、ベランダ緑化を考る人は、とりあえず自治体に問い合わせ、利用可能であれば利用しましょう。